不動産登記の義務化!不動産の相続はどう変わる?
目次
所有者不明な土地
日本では所有者がわからない土地が国土のおよそ20%もあると言われています。(平成29年度国土交通省調べ)
それがどのくらいの面積かというと、九州全土の面積よりも大きい面積に当たります。
所有者がわからなくなる原因として大きいのは相続時に所有者の変更(所有権移転登記)がされていなかったケースで、原因の66.7%を占めています。
現在、相続登記は義務ではありません。相続登記しなかったからといって罰則はなく、例えそのまま住んでいても名義が違うからといって追い出されるようなことはありません。相続登記しないでも、これと言う不利益はないのです。特に使わない地方の実家や農地、別荘用地などもわざわざ手間や費用をかけて名義変更しないまま放置されがちです。
こういった相続登記をしなかった土地を長年放置すると相続人がねずみ算式に増え、いざ相続登記しようと思った時には相続人の多さに手に負えなくなってしまうことも…
このような管理されずに放置された所有者不明の土地は、周辺の環境や治安の悪化を招き、土砂崩れなどの防災対策や開発などをする際の妨げになり危険な状態が続いたり、公共事業や市街地開発の買取交渉ができず土地活用が進まないこともあります。
こういった状況を打破するべく、令和3年4月に、所有者不明土地の「発生の予防」と「利用の円滑化」の両面から、総合的に民事基本法制の見直しが行われました。
具体的には
- 不動産登記制度の見直し
- 相続土地国庫帰属制度の創設
- 土地利用に関連する民法ルールの見直し
が行われます。
今回は①について詳しくみていこうと思います。
①不動産登記制度の見直し
令和6年(2024年)4月から相続登記の申請が義務化され、令和8年(2026年)4月までに住所等の変更登記申請が義務化されることになりました。
相続登記とは正確には「相続による所有権の移転の登記」といい、不動産の所有者が亡くなった時に、名義を相続人に変更する手続きのことを言います。
現在、相続登記や住所等の変更登記されずに放置されている土地も義務化対象になります。
(1)相続登記の申請の義務化
相続等により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記申請をする必要があります。
正当な理由がなく、申請をしなかった場合は10万円以内の過料の適用対象となります。
遺産分割の協議がまとまるまでは、法律上、全ての相続人が不動産を「共有」している状態になります。その状態で相続登記の申請をしようとすると戸籍謄本など全ての相続人を把握するための資料が必要になってしまいます。
そこで、遺産分割協議がまとまらず申請ができない場合は、「相続人申告登記」制度を利用します。この制度を利用すれば、自分が相続人であることがわかる戸籍謄本を提出するだけで簡易的に相続登記の申告義務を果たすことができるのです。こちらの制度も令和6年(2024年)4月から施行されます。
(2)住所等の変更登記の申請の義務化
登記簿上の不動産所有者は、所有者の氏名や住所の変更をした日から2年以内に住所等の変更登記の申請が必要となります。正当な理由なく申請をしなかった場合は5万円以下の過料の対象になります。
いよいよ義務化に向け待ったなし、所有者不明不動産解消へ、大きな転換点を迎えようとしています。
この記事を書いた人
- 『1週間で身につく、14歳からの投資』(ぱる出版)著者
- ファイナンシャル・プランナー
- 独立系ファイナンシャル・アドバイザー(IFA)
- 損害保険トータルプランナー
- 長野県上田市真田町出身(真田家の系統)
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